諸行無常を生き抜くのは、継続と熟成と進化

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seesaw

我々は常に、移り変わりの中に存在しています。

 

祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。
おごれる人も久しからず、只春の夜の夢のごとし。
たけき者もつゐには滅びぬ、偏に風の前の塵に同じ。

(読み方)
ぎおんしょうじゃのかねのこえ
しょぎょうむじょうのひびきあり
さらそうじゅのはなのいろ
じょうしゃひっすいのことわりをあらわす
おごれるひともひさしからず
ただはるのよのゆめのごとし
たけきものもついにはほろびぬ
ひとえにかぜのまえのちりにおなじ

(意訳)
祇園精舎の鐘の音には
永遠に続くものは何もないと言っているような響きがある。
曼珠沙華(まんじゅしゃげ)の花の色は
栄えたものは必ず滅びるという法則を表している。
権力を持ったものも長くその権力を持ち続けることはできない。
それは春の夜の夢のように儚いものだ。
強い力を振るったものも結局は滅びてしまう。
それは風の前にある塵と同じである。

(『平家物語』冒頭部分)

(解釈)
祇園精舎の鐘の声
「祇園精舎(ぎおんしょうじゃ)」は、現在のインド、ウッタル・プラデーシュ州にあったとされるシュラーバスティーという地に建てられた僧院です。その名前を日本語に音訳したもの。「声」は「音」を意味します。

諸行無常の響きあり
「諸行」は「万物」、つまりこの世に存在するありとあらゆる物事を意味する仏教用語。前の文と合わせて、鐘をついたときにだんだんと小さくなっていく音に永遠に続くものは無いと悟らせてくれるような響きがあるという意味のようです。

沙羅双樹の花の色
「沙羅双樹」は「まんじゅしゃげ」のこと。ちなみに、秋のお彼岸の頃に咲くので「ヒガンバナ」とも呼ばれますね。

盛者必衰の理をあらはす
「盛者」は、権力を持って栄えた人々ということで、それは必ず衰退するというこの世のルールを表しているという意味です。

おごれる人も久しからず
「おごれる人」は「強い権力を持って威張っている人」ということで、全体ではそんな権力を持っている時間は短いという意味です。

ただ春の夜の夢のごとし
「春の夜の夢」は、あっという間に終わってしまう幸せな時間のことを表現するのによく使われる喩えです。

たけき者もつゐには滅びぬ
「たけき者」は「猛き者」、つまり自分の権力や腕力を振りかざしている者ということで、「つゐに」は「終に」「遂に」、つまり「最後には」とか、「結局は」ということを意味します。

偏に風の前の塵に同じ
「偏に」は「ただ」と同じ意味で、「まさしく」とか強調の意味で、塵が風に吹き飛ばされていく運命にあるのと同じように、力の差が圧倒的に大きく、全くもって無力な様子、抵抗できない定めなのだという比喩。

 

 

声に出して音読してみると、何とも、ものの哀れが滲み出すような余韻がありますね。

しかし、この無常観、諸行無常とは、変化の連続を意味し、決して何もない「無の世界」という意味ではありません。

物事には偏りは長くは続かない、ということであり、

何でも「○○ばっかり」、「●●ばっかり」ではない、という意味です。

世の中というのは、けっして、良いことばっかりでもないし、悪いことばっかりでもない、のです。

 

チャールズ・ロバート・ダーウィン(Charles Robert Darwin)の残した進化論「種の起源」では、

「最も強いものが生き残るのではない。最も賢いものが残るのではない。唯一、生き残るのは変化するものである。」
(It is not the strongest of the species that survives, nor the most intelligent, but the one most responsive to change.)

とあります。

 

集中、継続、蓄積がなぜ大切なのか、

その答えは、

集中、継続、蓄積がもたらすものが、熟成、進化に他ならないからです。

「熟成と進化」とは、すなわち「温故知新」の境地を表します。

現代ではとかくスピードが重要視されがちです。

しかしながら、ローマは一日にして成らずとは、

大きな物事を成し遂げるためには、粘り強い闘志、不屈の向上心を持って、

継続的に、計画的に、戦略的に取り組む必要があるという意味なのです。

 

Quotation of Mark Twain(マーク・トウェインの名言)

Do something every day that you don’t want to do; this is the golden rule for acquiring the habit of doing your duty without pain.(何かやりたくない事があったら、毎日必ずそれをやることだ。これが苦痛無しに義務を果たす習慣を身につけるための黄金律なのだ。)

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